ガラムサイズ水路東部水量調整区。
ダルマスカ王家の宝物庫を狙ったせいで今
こんな所をうろついてる。
元凶になったコソドロの小僧は呑気なボウヤだし、お
まけに女まで降って来た。
反乱軍。恐らくそうだろう。
もう一人の元凶の登場に、直接
関係のない帝国兵とも戦う羽目になって
俺は運の無さを呪う。
厄介事からはさっさと身を引くのが鉄則。
足早に立ち去ろうとす
ればボウズに呼び止められた。
ダルマスカの人間のように見えるヴァンだが、思慮に欠けるのか幼いのか何も気付いて
いないようだ。
呆れて、無視して置いて行くのも憚られた。
女はアマリアと名乗った。
ヴァンよりは年上だろう、
ヴァンの軽い言葉遣いと軽率にも盗みを自慢げに話す様子に気を悪くしたようだった。
刺々しい雰囲気。美人だ、
が気の強そうなキツイ感じ。パスしたい。
ヴァンはそんな雰囲気に気付かないのか一緒に
行こうと誘いをかける。
応じながらも背を向けてしまったアマリアを見ても自分の言動のせいだとは考
えないらしい。
「機嫌悪いな」
と首を傾げるその鈍さが羨ましいものだ。
一緒に行くことにはなったが、彼女は
仲間と合流するまでと言った。
あくまで一人でも戦えるのだという態度を通す彼女に俺は言う。
「勇ましいねぇ反乱軍てのは」
彼女の腕と
状況からアマリアが反乱軍の一員だということに確信はあったが、カマをかけた。
「解放軍です」
……アタリだ。
今日は本当に運が悪い。
それにしても――
この女、アマリアはレジスタンスの一員にしてはじゃじゃ馬のよう
な雰囲気が無い。
別に偏見は持っていないつもりだが、もう少し不逞さというか言動
に荒さがあってもいい筈なのに、凛とした振る舞いは何処ぞの貴族のようにも見える。
まあ、出身が何処かなど関係のないことか。
親の決めたご立派な道を捨てて空賊にな
った人間もいる。
この水路を抜ければ俺は空に戻り、女はまた解放軍として
帝国に向
き合う、それだけのことだ。
今日はこれ以上もう何事も起こらないでくれよ、と心底思いながら、俺はア
マリアの後を歩いて行った。
会ったばかりの頃はこんなもんだろなバルの心中。