「眠れないのか?」
土手に座り空を見上げているクラウドに背後から声を掛けた。
「ああ」
気配を察していたのだろう、彼は驚くでもなく、だが膝上に腕を置いた体勢の儘こちらを振り返ることなく答えた。
その様子が若干だが気になった。雲と闇が浮かぶ暗い空ばかり見つめても精神に良いことなど一つも無いのだ。
「クラウド、いつ敵が現れるか分からない」
だから時間のある時は眠れずとも体を横たえるべきだ、と伝えると、クラウドは「そうだな」と腰を上げた。
その動作に続けて漸くこちらを振り返る。
露になったクラウドの表情は然程影の落ちたものではなかったが、何故か私の顔を見て寂しそうな顔をした。
「もう随分と光を見ていないな」
それがさっきまで彼が見ていた空のことを言っているのだと気付き私は頷く。
「ああ」
「でも、あんたは眩しい」
クラウドは寂しそうな顔の儘、だがはっきりした口調で言った。
「いつもどんな時でも光を纏っていて、迷い無く真っ直ぐだ」
「………」
「それが少し羨ましい」
――私は、他人に羨ましいと言えるその性質こそ真っ直ぐだと思う。
迷い惑わされることはよく言えば柔軟で、私に迷いが無いというならそれは頑なということ。
己の頑なさは不可欠なものとして常に心掛けているが、そういった柔軟さを卑下したことなど一度も無かった。
寧ろ、クラウドのそれは美しいもの。
「ならば私の傍にいればいい」
口を突いて出た私の言葉に、クラウドは目を丸くした。
「君が光を欲し私が光を纏っているというなら、君に光を分け与えよう」
人は人といることで自分に無いものを手に入れることが出来る。
共にいることで異なる輝きも交じるだろう。
クラウドの目をじっと見つめて語り掛ければ、彼の頬がふっと緩んだ。
「ああ……そうだな」
是非そうしたい、と。
そう言ったクラウドの顔は、よく晴れた空のようだった。
ウォーリアさん抜け駆けプロポーズ。