剣と継承





  どんな物にも終わりは来る。
  その終わりを引き伸ばす為に何度も修理・調整をして使ってきたスコールのガンブレードであったが、最近遂に壊れた。
  そこで信頼する鍛冶屋でこれまでと同じ機能を持つガンブレードを新しく作るよう依頼し、つい先日それを引き取りに行ってきたのだが……。
  それを使い始めてから、スコールの身に不思議なことが起こっていた。
「どういうことか説明してくれ」
  気になったら知らなければ気が済まない。
  スコールは新しい武器を抱えて早速鍛冶屋に乗り込んだ。
「何をかな?」
  老齢の鍛冶屋はスコールがこうしてやって来ることを分かっていたような顔をした。
「このガンブレードだ。新しい物に替えてから妙なことばかり起きる」
「妙とは?」
「……この間、モンスターとの戦闘中剣を吹き飛ばされた。俺は丸腰で四方を敵に囲まれるという危険な状況になった。だがその時にこの剣が……」
「助けてくれたんじゃろ?」
  何処か楽しそうな老人の言葉に、剣に視線を注いでいたスコールははっと顔を上げた。
「そうだ。……剣が勝手に回転して周囲の敵を斬りつけながら俺の所に戻ってきた。まるで見えない誰かに操られている、いや、自身が生きているような動きで。それに、使っている時も剣が元の重さより明らかに軽くなっているんだ。俺一人で持ち上げているような感じがしない。……一体あんた、……何を作った?」
  自然咎めるような口調になっていたスコールに、だが鍛冶屋はほっほっと笑った。
「わしが作ったわけじゃないよ。わしはただ先祖代々伝わってきた家宝を、少しばかり作り変えて相応しい人間に与えたまで」
「家宝?」
「そうじゃ。このガンブレードはわしの家宝の剣を元に銃を組み合わせてこしらえたもの。 この剣をずっと昔に誰が使っていたのかはもう分からないが、わしの家ではこう伝えられてきた。 “相応しい実力と精神を持つ者に与えよ。然らば剣は永久にその者を守るだろう。自らの命を顧みず”」
「…………」
  スコールはもう一度剣を見つめた。
  以前スコールが使っていたものに比べて厚く、より鉄らしい無骨なデザイン。
  これが独りでに動きモンスター達を蹴散らした様は、銀狼が荒れ狂っているように見えた。
(生きているのか……)
  剣が生きているなどと馬鹿なことを、とは思えなかった。
  自分の目で見たこともあるし、何よりこの剣の仄かに発する光が魂のように感じられたのだ。
  誰かを守ってきた者の。或いは、誰かに守られてきた者の。
「―――大切にする」
  それはあまりにも不意に湧き上がってきた感情で、スコール自身その言葉を発してから驚いた。
  しかし鍛冶屋はにっこりと目元に皺を寄せる。
「剣も喜んでおるよ」
  その証のように刀身の輝きがゆらりと揺れるのを見ると、スコールの中で最初感じていた“奇妙さ”が急速に萎んでいった。
  使い慣れた剣から新しい剣に替えたことで感じていた違和感と、小さな不満が解けていく。
  鍛冶屋の話でも剣の出所は正確に分かっていないというのに。
  だが剣士が剣を物として見ず、共に戦うもの、己を守るものとして見た時こそ互いの間に絆が生まれることを鍛冶屋はよく知っていた。
「バスターソードという」
  それはかつて、青年が兵士を守り、兵士が星を救った剣。