キラが死神のノートによって犯罪者を裁いていたこと
キラを捕らえる為そのノートに自らの名を書いたこと
それによって私の死が確定したこと。
に全てを話した後、彼女は表情を無くした。
「うそ……でしょ……」
彼女の細い呟きに、私は残酷と知りながらもう一度繰り返す。
「本当のことです。私はあと十八日で死にます」
「っ!」
彼女は一瞬かっと目を開いて、激しい感情の混ざった眼差しを突き刺してきた。
「……なんで……なんでそんなことしたのよ!!」
叫び、どん、と胸にぶつかってきたを受け止めると、彼女はすぐに顔を上げて睨んだまま荒い息を吐き、それから弱弱しく「どうして」と呟いた。
「すみません」
彼女の肩を支えながら、謝ることしか出来なかった。
の顔がみるみる悲痛に歪み、彼女はわななく唇を噛み締めながら私の胸元の服をきつく掴んだ。
崩折れそうな体に対して震える両手に込められた力は驚くほど強く、
それが私の頭の中を掻き乱すように揺さぶる。
彼女がこんなにも激しい感情を見せるのは初めてで、彼女にこんな顔をさせているの
は本当に自分なのかと疑いたくなる程の胸の痛みを覚えた。
やがてひっくとしゃくりあげる短い嗚咽が零れ始めると、更に胸がずしりと重く
なった。
「私を諦めるしかありませんでした」
「そんな言い方やめて! 自分の命のことじゃない! どうして簡単に……っ」
は言葉の途中ではっとしたように止まり、そのまま唇を小さく
震わせて閉じた。
表情が読めないほど俯いてしまった彼女は、そこで「ごめんなさい」と呟いた。
「何故が謝るんです」
全く分からず問うと、彼女は下を向いたまま啜り泣くように答えた。
「……Lは、……簡単に諦める人じゃないのに……私、」
そしてもう一度、ごめんなさいと言った。
彼女の波立つ心中に比べ、私の中は酷く落ち着き始めていく。
―――とても幸せだと
感じていた。
彼女のように何もかも分かろうと……受け入れてくれる人が傍にい
てくれたことが最上の幸せだ。
けれどもう一人――
「ワタリを死なせてしまいました」
凪いだ心が自然と言葉を漏らした。
「多くの人が命を落とし、私はワタリを死なせてしまいました」
「あなたの所為じゃない」
はっきりとが言ってくれる。そして、
「はい。ワタリもきっとそう言ってくれるでしょう」
――そう思う。
「それでも、悔やまれてなりません」
これは弱音だ。
これまで幾度かの失敗をし、次には全て改善してきた。
しかしもう、改善する必要の無いこと。
だからこれは弱音だろう、最後で最大の。
「もう……どうすることも、出来ないんだよね?」
が掠れた声で訊く。
恐らくワタリのことも私のことも、これから結果を変えることは出来ないのかとい
う問いだろう。
尋ねながら、彼女も答えを分かっているようだった。
私が頷くと彼女は眉を寄せて瞼を閉じ、睫から涙を幾つも落とした。
彼女もまた何かを、悔やんで生きなければならないのだろうか。
そしてそれは私の所為なのだろうか。
だとしたら、私が感じる最後の後悔は――――――――――
「」
―――彼女を置いていくことだ。
の涙に濡れる顔を強く引き寄せて抱き締めて、唇を寄せた。
「最期の瞬間まで、どうか一緒にいて下さい」
悔やんで悔やんで、満たされて死んでゆく。