触れたい、と。
行方をくらませていた俺が浪士組を訪ねて来た真意を問う彼に
俺の真意を聞いた後再会の喜びを見せてくれた彼に
どうしようもなく触れたくなった。
俺の思考はいつも表面に出難く言葉足らずだが、それでもむず痒くなる程貴方に会えた喜びを噛み締めている。
貴方に触れたい。
再び共に在れることを温もりで確かめたい。
そのような衝動を感じたのは初めてで、正体の分からぬ熱と戸惑いが頭の中に霞をかける。
(土方さん相手に)
再会での親愛の抱擁は然程奇妙なものではないだろうが、俺達がそうするのは違う気がした。
俺の感情そのものと似て、俺達の関係は表に表れるものではない筈だった。
然れど会話の途切れた刹那に
「――――」
無言で、抱き寄せられて。
望んでいたものが何故与えられているのかを考える間も無く、じわりと温かな熱が肩から全身へと広がって行った。
「もう何処にも……」
唇から零れ出た言葉は全くの無意識。
覚悟でも意志でもない、俺そのものの想いだった。