regret





「死なないでね」
  丸まった背中に触れて祈るように声を掛けた。
  キラの前に姿を現すと聞いたのに、そんなことはやめてと私は言わない。
  やめて欲 しいのに言えないのは、Lを信じているからだろうか。
  言っても止めないことを知っているからかもしれない。
  信念に基づいて、なんて似合わないけど、自分の正義を通そうとする彼が好きだからかもしれない。
  多分、理由はその全部で。
  だから私はそんな小さな言葉しか言わない。
  何よりも大きな意味を持っているのに、彼のLとしての決断を揺るがせることのない小さな言葉を。
「約束は出来ません」
  彼に約束をさせてくれない小さな言葉。
  分かっていたから、頷いた。
「うん」
「けれど死ぬつもりもありません」
「分かってる」
  頷いた。分かっているから。
  Lの背中に額を押し付けて、瞼をぎゅっと瞑った。
「大丈夫、私はちゃんと此処に戻ってきます」
  宥めるようなLの声が聞こえる。
  そんな風に断定して言うくせに約束はしないという彼は、 なんて狡くて賢い人だろう。
  そんな言葉に誤魔化されている私がいるから。
「後悔……するのかな」
「? ……何をですか?」
「……ううん。何でもない」
  今、存在しない約束に誤魔化されたことと、危険なことをやめてと言わなかっ たこと。
  Lに何かあったその時、私はきっと後悔する。


  ―――――――――現実になる、後悔。









誰かを失うと絶対に何かを後悔する。