狂愛





「ねぇ、気持ちいい?」
  足を絡ませ性器に腰を押し付けては離しまた押し付けてを繰り返す総司に斎藤は堪らず啼き声を上げた。
  達した後で体が敏感になっているというのに、総司は くったりした斎藤の体を放さずに何度も掠める仕草を続ける。
「一君って言葉が少ないから分かんないんだよねぇ。もっとちゃんと言ってくれないと」
  粘り付くような口調に針のような刺々しさがある。それが総司の心情を何より物語っていると気付い てはいても、斎藤にはどうすることも出来なかった。
「ねぇ、どうなの?」
「うァっ」
  カリ、と胸の突起を噛まれ、同時に脚の間に差し込まれた指が中に突き入ってきた。
  慣れたせいで痛みより刺激を強く感じてしまい斎藤の頭が快感に支配される。 先程までの激しい行為も引き摺って靄が掛かったようになった視界に総司の鋭い表情が映った。
  此方を睨んでいるようなのに喜悦に満ちて、なのに暗い混沌の眼差し。
  それがどうしようも無く蠱惑的で
「い……い」
  快楽に濡れた声が勝手に斎藤の口を突いて出た。
「ふぅん」
  勝ち誇ったような笑みで総司は口端を吊り上げ
「じゃあ土方さんと僕、どっちがイイ?」
「っ!」
「コレ、僕が付けたのじゃない。……こんなに鬱血の痕残してさ。あの人はもっと性急かと思ってたけど」
「っ総司!」
「シてる時の一君の顔見てると僕の方が君を悦ばせてる自信があるのになぁ。でも流石にあの人には負けるのかな? だって土方さん、昔から女に不自由してないもんねぇ」
  言いながらズ、と指で斎藤の内部を探った。
「! ッぅ、」
「最近は全然遊んでないみたいだけど、やっぱり君がいるからかなぁ」
「よ、せ! 総司……っ」
「何を?」
「今、あの人のことを言うのは……」
  吐息の合間に必死に訴える斎藤の湿った眸を総司は無表情に見つめていた。
(どうして?)(罪悪感が湧くから?)(――――誰に?)
  黒く激しいものが胸に逆巻いてゆく。
  拒まないでくれればそれで良いと思っていた筈なのに、斎藤を抱く度に我慢がならなくなっていく。
(僕だけのものに)
  シタイ、と。激しい渇望が溢れ出して暗い海に溺れそうだった。
  ぎゅっと目を瞑り息を吐いて、激しくささくれ立った気を懸命に落ち着ける。
  少なくとも今この瞬間の斎藤は自分だけのものだ。
  その心が誰を想おうとも、総司は只それを見なければいいのだ。
「それもそうだね。……今は、僕だけを見てて」
「ッ……ァ!」
  指に代わり容赦無く自身を斎藤の中に突き埋めながら総司は、
(此れが刀の切っ先であればいいのに)
  ぼんやりと思った。