※サイファーがSeeDでアーヴァインがバラムガーデンの生徒だったり、登場するモンスターなど、
捏造した設定が出てきます。しかも細かい設定適当です。
そのカエルを見つけたのはガーデンの校門の端だった。
ミッションを終えて戻ってきたサイファーが何気なく地面に視線を落とすと、それはまるで行き倒れたかのように片腕を伸ばし
門の柵を掴んで突っ伏していたのだ。
鮮やかな色の小さなカエルだ。
「……」
久しくカエルなど見たことがなかったから、珍しいと思い近付いてみた。
ぴく。
……動いた。
柵を掴んだ腕に力を込めてずるっと一歩前に進み、また突っ伏す。
再び踏ん張って二、三歩前進。そして力尽きる。カエルはそんな行動を繰り返していた。
(何か必死だな)
一匹のカエルが這い蹲りながら、何処に行こうというのか懸命に進もうとする。そんな様子にはこのカエルの根性というか
しぶとさを感じ、サイファーはカエルに対し親しみが湧いてきた。“骨のある奴リスト”に入れてやってもいいかもしれない。
だから特にカエル好きというわけではないけれど、そのカエルを助けてやろうかという気になったのだ。
サイファーはカエルを上からがしりと掴むと、そのままガーデンの寮へと向かって行った。
気休め程度ではあるがもがいていたカエルは、寮の自室に戻ったサイファーがとりあえず大皿に水を張り彼を中に入れてやると、
気持ち良さそうに目を閉じてそれに浸かった。
動こうとせず満足気にその状態を味わっているようだ。
「なんだ、干からびてただけか?」
カエルはぱっと見て外傷が無いようだったから、水気が無くて元気を失くしていたのだろうか。
水に入れて正解だったな。サイファーが呟くと、カエルは目をぱちりと開けて小さく頭を下げるような動きをした。
満足したらしく、少ししてからカエルが水から上がる。
皿を出る時ぴょんと一度飛び跳ねてみせたカエルを眺めながら、サイファーはカエルが倒れていた理由が単純で良かったと思った。
さすがに両生類の治療法など分からないからだ。
元気になったならさっさと何処かに行くだろうと思いきや、カエルにはそのような気配が無かった。
下方から、ただサイファーをじっと見つめている。
「……?」
(何だ? この感じは)
サイファーはその時奇妙な感覚を覚えた。
たかが両生類のカエルだというのに、それの視線はただ物を映しているだけというより何かを考えているような、
例えるならば道端で目が合った時の猫の視線のようだ。
何か意思を持ってこちらを見ているような。品定めしているような。
奇妙な違和感を感じていると、カエルはするりと視線を外し皿を置いたデスクの上から飛び降りた。
サイファーはその姿を目で追いかけ、次の瞬間、驚きに目を見開いた。
「! おいおい……」
なんとカエルは着地後、ぺたぺたと床を二足歩行し始めたのだ。
それも一、二歩や短時間ではない。ペタペタペタペタ音が聞こえそうな程歩いている。
カエルといえば飛び跳ねて移動する生き物だから、これはかなり道理を外れている。
サイファーがぽかんと口を開けている間、カエルは二本足で歩きながら部屋の隅に向かい、サイファーの
タオル掛けから一枚タオルを取って床に丸めた。
そうして作ったのは寝床。……彼はちょこんとそこに納まってしまったのだ。
「……」
驚きというか呆れるというか。いや、やはり驚きだろう。サイファーはあんぐりと口を開けていた。
二足歩行だけでなく自分で寝床を作るカエルを見てしまった。
そんな時十人十色の反応があるだろう。
新生物の発見者として逸早く報告をしなければと意気込む者、自分は疲れているのかと思案する者、これはただのカエルでなくモンスター
なのかもしれないと警戒する者。
しかしこのサイファーはガーデンでも有名な程豪胆だった。
それが害のあるモンスターかもしれないという可能性を考えるより先に、
「おもしれぇ……」
と緩んだ口で呟いていたのだった。
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