Don't fight for me.・3





「クラウド」
  保健室に着いてドアを開け、「また来たのか」と呆れた顔をされる。
  それが最近のスコールの日常だったが、今日は少し事情が違っていた。
「あれ、スコールじゃないか。君も怪我したの〜?」
  よく知る、間延びした声。スコールを出迎えたのはクラウドではなくアーヴァインの声だった。
「何だスコール、今日も来たのか」
  続いてクラウドがアーヴァインの肩越しにひょいと顔を覗かせドアの所に立つスコールに声を掛ける。
  が、それだけで彼は直ぐにまたアーヴァインの方へと視線を戻してしまった。
  彼は丸椅子に座るアーヴァインの頬に手を添えると、もう片方の手で脱脂綿を抓んだピンセットを運び、アーヴァインの頬にそ れを押し当てる。
「イタ! 痛い〜ッ」
「いちいち騒ぐな。沁みるのは当たり前だろ」
「だってクラウド、もっと優しく触ってくれればいいじゃないか〜」
「ちゃんと優しくしてるだろ」
「僕にも魔法使ってよ〜」
「あのな、使う程大きな傷か? コレが」
「ギャッ! 痛い痛い、傷押さないでよ〜!!」
「………」
(何だ? これは)
  スコールの胸がちくりと痛んだ。
「クラウドはさぁ、もっと優しければいいと思うよ? 顔とか天使なんだから、優しくしてくれれば僕だってもっと好きになるのに」
「お前の愛なんているか。お前こそSeeDならもっとそれらしくなれ」
「え〜! 酷いよそれ〜」
  アーヴァインの顔にガーゼを貼りながら彼をからかうクラウドの顔が。クラウドを前にはしゃいでいるアーヴァインが。物凄く、嫌だと思った。
「……」
  二人の楽しそうな様子を見れば見る程苛ついてくる気がして、スコールは堪らずに口を開く。
「アーヴァイン」
「……え? 何? スコール」
「……セルフィが呼んでいた。早く行ったらどうだ」
「セルフィが? ……分かった〜」
  スコールの嘘に気付かず、アーヴァインはクラウドの手が顔から離れるのを待ってから腰を上げた。
「じゃあクラウド、ありがとね〜!」
「ああ。もう怪我するなよ」
  軽く手を上げてアーヴァインを見送るクラウド。
  保健室のドアが閉まりアーヴァインの姿が見えなくなっても、スコールの胸の苛々は治まりそうになかった。